【短編】お菓子な関係
ここで、意識し過ぎたって思われて嫌われちゃったら嫌だから。
あたかもなんとも思ってないみたいな。
なんて言っていいのかわからないこの関係がなくなるのは、嫌だから。
せっかく繋ぎ止めることができたから。
だから、あともう少し。
まだこの感情に名前なんてつけたくない。
「吉岡?」
あなたの声が心地いい。
顔を上げると、心配そうにこちらを見つめる星川くんの顔。
下がった眉がまた可愛いな。
「うん、食べる」
私が小さくそういうと、星川くんは少し目をそらしてから、また目を合わせた。
「はい、あー」
そう言って口を軽くあける無邪気な星川くん。
何度でもいうよ。
あざとい。
私はゆっくりと顔を上げて、運ばれるプリンを待つ。
心臓がドキドキと脈打って。
『すげーいい匂いすると思ったら、君の仕業か!』
初めて出会った頃よりもずっと、胸の鼓動がうるさくて。