ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】




 ザザザザザザッッ――



ザ――

……ん?

突如、音がやむ。……だが。

「今……」

怯えきった、浩介の声。

「祐一郎の目の前にいる」

「え゛!?」

……なぜだ!?

鬼である浩介を無視し、わざわざ僕のところに回りこんできたというのか。

……ゲームに参加していない僕の前に、なぜ“ソレ”がいる!?

急に足がすくみ、逃げも隠れもできない絶体絶命。

暗い暗い木の陰で、僕は身体を丸める。

もはや写真を撮るどころではない。

「…………」

「ッ!!」

気配。重苦しい気配を感じる。

下から僕を突きあげるような冷徹無比な視線も。

一瞬で血の気が引き、顎が震えだす。



 スッ  スッ


……え!?

それは、匂いを嗅ぐように鼻をすする音。


「フフッ」


目に見えない、呪いの化身が微笑む声。


 ザザザザザザッッ──


突然、闇はフッと消えて、僕のそばから移動する。

「どこだ!? どこに?」

「ぁ゛あ、ボクの……せ、背中」

「逃げろって!!」

「かかかか身体が、かかか金縛りに……」

「ぉ、おい!」

――キィィイ──ンッ──

再び鼓膜に轟く耳鳴りの中で、とても小さく重く、脳裏にはびこる声がした。


 
< 34 / 172 >

この作品をシェア

pagetop