ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】
ザザザザザザッッ――
ザ――
……ん?
突如、音がやむ。……だが。
「今……」
怯えきった、浩介の声。
「祐一郎の目の前にいる」
「え゛!?」
……なぜだ!?
鬼である浩介を無視し、わざわざ僕のところに回りこんできたというのか。
……ゲームに参加していない僕の前に、なぜ“ソレ”がいる!?
急に足がすくみ、逃げも隠れもできない絶体絶命。
暗い暗い木の陰で、僕は身体を丸める。
もはや写真を撮るどころではない。
「…………」
「ッ!!」
気配。重苦しい気配を感じる。
下から僕を突きあげるような冷徹無比な視線も。
一瞬で血の気が引き、顎が震えだす。
スッ スッ
……え!?
それは、匂いを嗅ぐように鼻をすする音。
「フフッ」
目に見えない、呪いの化身が微笑む声。
ザザザザザザッッ──
突然、闇はフッと消えて、僕のそばから移動する。
「どこだ!? どこに?」
「ぁ゛あ、ボクの……せ、背中」
「逃げろって!!」
「かかかか身体が、かかか金縛りに……」
「ぉ、おい!」
――キィィイ──ンッ──
再び鼓膜に轟く耳鳴りの中で、とても小さく重く、脳裏にはびこる声がした。