ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】


病院の名前を聞いたとき、あまりピンとこなかった。

そのわけは、敷地内に足を踏み入れてからわかる。

「デケェな……」

数えきれないほどの窓。最上階には円形のヘリポート。

壁にはくすみやヒビ1つない、新設の大病院だったから。

エレベーターに乗り、計画のデモンストレーションを頭の中で繰り返す。

5回目が終盤を迎えたとき、扉が開いた。

ふたつ角を曲がった長い廊下の先に、手をうしろに組んで仁王立ちしている警察官。

……おっと!

誰かに見られては、元も子もない。

僕は回れ右をして、来た道を戻る。

「夜、また来るか……」

もう一度エレベーターのボタンを押して待っていると、

「ちょっといいかな?」

ふたりの男が両脇に立った。

「こういう者です。ご協力を……」

戸惑う僕に、ひとりがジャケットの内側で警察手帳を見せる。

「け、警察……」

……マズい。

引き返したのを見て、怪しまれたのかもしれない。

「もしかして、長谷川さんに会いにきたの?」

「…………」

黙秘。

やっとのことでエレベーターが到着し、平静を装いながら乗りこんだ。

すると、ふたりもなに食わぬ顔でついてくる。

「すまないが、身元のわかる物を見せてくれる?」

「そんなのありません」

「じゃあ、持ち物調べさせてもらってもいいかな?」

「い、嫌です!」

……あ゛ぁ゛。

ポケットに忍ばせた物が見つかったらおしまいだ。

自ら密室に逃げこんだことを後悔する。

額から鼻筋を、ギトッとした汗が伝った。

階がさがるにつれ顔が強張る僕を見て、彼らはなにかしらの確信を得たらしい。

「ちょっと、さわるね」

「や、や、やめてください!」

否応なしに、服の上から調べられる。

「これ、なに!?」

すると、右側にいた刑事が、僕の太ももから手をどかさない。

ふくらみの感触で、それがなにかわかったのだろう。

……終わった。



 
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