ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】
飛鳥病院。
事情聴取もまともに行えず、とくに大きな罪を犯したわけではないので、沙奈はそこへ入院することとなった。
付き添いとしてついていく俺。
廊下を淡々と歩いたものの、病室に入ったとたんに暴れだし、鏡めがけて空の花瓶を投げつける。
――パリーーンッ。
粉々に割れたそれを見るや、落ち着きを取り戻す。
かと思うと、点滴を変えるために近付いた看護師に襲いかかったりもした。
再び暴れたときのため、自傷行為に走らせないため、24時間拘束具を強いられる、厳しい環境。
あまりにも変わり果てた娘の姿に、駆けつけた父親は頭を抱え、母親も目を覆う。
俺はといえば、その両方だった。
「カスルコハアラカジメオニカラジュズツナギデコユビノミヲムスンデマツコトゴゼンサンジサンプンサイショノオニガ……」
天井の一点を、目を見開いて瞬きひとつせず、延々とブツブツつぶやくこの言葉。
沙奈を救えると確信していた俺にとって、絶望的な状況。
どうやら、終わりの儀式との併用はできないようだ。
「大橋くん。娘を見つけてくれて、ありがとう。キミもつらいだろ? あんな風になって……いいんだよ、もう」
父親は思ったのだろう。今度は俺の方から離れていくと。
それほどに、沙奈は、前の沙奈じゃない。
「お父さん、僕、約束したんです。絶対に守るって。だからなにがあっても離れませんから」
迷いは一切なかった。
しかし同時に、守れるという根拠も今はない。
呪縛の無限ループ。
俺たちはこれから、いやこのまま一生、磨理子さんに囚われて生きていくしかないのか……。