ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】
ついに、この目で捉えた。
正門に突っ込むようにして停められた1台の車を。
「間違いない。畑山の車だ!」
半ば興奮気味に、外へ飛び出す山口。
「でも、なんでここに……」
康文は合点がいかない様子で、誰もいない車内を覗きこむ。
「とにかく、校内を手分けして捜そう」
ハンドルから手を離した運転手は、続けて僕たちの舵を取った。
「鍵が開いてんで……ちょい待ち!」
畑山の車の後部座席で、なにやらゴソゴソとし始める康文。
「もう携帯は回収してもいいよね?」
「あぁ」
その間に次々、門扉に足をかけて飛び越える。
最後になった康文が校内に着地すると、玄は真剣な表情で言づけた。
「畑山を見つけたらすぐに報せろ。ええな?」
「おう、わかった」
僕と康文は校舎の周りを、玄と山口はグラウンドに向かって歩を進める。
不気味な静寂の中に身を置くせいか、相方の声を聞いていないと心もとない。
「なあ、ヤス」
「ん?」
「この辺りが地元なんだよな?」
「あぁ。もし開桜に落ちてたら、俺はここに通ってた」
「てことは……大貫も?」
「うん。今思えば、アイツは開桜なんかじゃなくて、星都中に通ったほうが幸せだったのかもしれない」
――……。
そんなお涙ちょうだい的なことを言われると、静寂が逆に心地よかったりする。