ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】




「タツミ、俺が病院で言ったこと憶えてる?」

「ぇ……っと」

あの時は色々な情報が頭に入ってきた。

すぐには思い出せない僕へ、つぶやくように語りかける。

「有村そら。彼女はここに通ってたはずだ」

「っ⁉」

予期せぬ“繋がり”に驚いたのも束の間、

「ぁ……あれ!」

ちょうど体育館の前を横切ろうとしている時だった。康文は急に、身を屈めながら指を差す。

「畑山だ! 畑山がいる」

その言葉通り、体育館の中央に人間の背中があった。

が、少し様子がおかしい。

「何やってんだ? 全然動かねぇぞ」

これは好都合だった。指示通り、僕はすぐに電話をかける。

数分後、忍び足で駆けつけたふたり。

「どこにい」
「シー! ほら、あそこ」

畑山らしき男は、床に膝をついてうつむいたまま。

「行くぞ。はるかのことを訊きだすんだ!」

「ま、待て。これは罠かもしれない……」

そう勘ぐってしまうほどの無防備すぎる背中は、絶望の二文字を漂わせる。

「知るか!」

山口は僕の制止を無視し、まっ先に館内へと突入した。

「畑山―っ!」

――ハタヤマー……。

たった一度の呼びかけが、館内に反響して重なり合う。

「はるかはどこだ!」

「…………」

先生はゆっくり振り返って、僕ら全員の顔を見た。

「キミたち……」

その声はまるで、真珠のネックレスを落としたように、力なく辺りへ散らばる。

「ぅ゛、梅田さんは、あそこだよ……」

激しく震えた指先が、舞台の中央を差した。ここからでは暗すぎて見えない場所を。

僕は乾いた空気を飲みこんで、恐るおそる館内へ。

一歩ごとに姿を現すシルエットが一体何であるかを理解した瞬間、

――ドタンッ!

「ぉおい゛、タツミ!」

「どうした?!」

フッと気が抜け、床に尻を打ちつけた。

「はる゛か……」



 
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