ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】




遡ること、約10時間前の夕方。

一緒に酒を呑もうと門を叩き、買い出しを口実にして先生の車に同乗する3人。

本当の目的は、康文の携帯電話を車内に忍ばせるため。

「コイツの携帯、GPS機能が付いてるからな」

確たる証拠が無い以上、警察が出来るのは先生の行動を監視するのが限度。

だから、不測の事態に備えた。

「一度は消えた灯りが3時にまた点いて、すぐに畑山が家から飛び出してきたんだ」

恰好は着の身着のまま。

「最初は普通に車を走らせてたけど……」

「けど?」

ある交差点の角を曲がった直後、警察の追尾を振り切るような運転を開始。

「俺らもすぐに見失った。せやけど、こっちにはコレがある!」

玄はカーナビに繋げた携帯電話をアゴで差す。

表示された地図の中央には、動く赤い点が見えた。

「さっきまで、この赤い点は止まってたんだ」

「はるかのマンションの辺りで?」

「うん」

しかし、先生の車を捜してる最中、救急車のけたたましいサイレンの音がして。

「ヤスに様子を見に行ってもらったら……」

「……僕たちがいた」

「そういうこと」

助手席に座る山口は、深く頷きながら神妙な面持ち。

「フッ―― 今度は絶対に逃がさへんぞ!」

対して、不敵な笑みをこぼす玄。

彼はまるで、今の状況をゲームのように愉しんでいるようだった。

そしてあたかも、そのゲームを面白くするように、先生の位置情報はめまぐるしく変わり始める。

「おそらく、高速に入ったな。一体どこに向かってるんだ」

皆で赤い点だけを追っていると、僕の横にいる康文が誰よりも早く謎を解く。

「この道筋……もしかしたら、千葉に向かってるかもしれない」

「「千葉?!」」

この地名で思い出されるひとつのキーワード。

「まさか、星都小?」

僕の勘は正しかったようで、赤い点は康文の生まれ故郷へ繋がる最短ルートを辿り続けた。

やがて高速を下り、一般道に戻る。

しばらく走ったところで、康文が助手席のシートに掴まって前のめりになった。

「あれ……ちがう。星都小じゃない!」

「「え⁉」」

その数分後、赤い点はある場所に留まった。

〇の中に“文”の地図記号。その場所はすなわち……。

「中学校! 星都中だ!」



 
< 99 / 160 >

この作品をシェア

pagetop