ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】



実に手際よく、警備員の自由を奪った犯人たち。

次は、エントランスを開けてエレベーターへと向かう。

右側のボタンが押され、ドアが開くと、彩矢香は映像から顔を背けた。

「はるか……」

僕は目に焼きつける。両手足を失って、瀕死の状態にある彼女の姿を。

瀕死。今にも死にそうなこと。

すなわち……。

「……動いてる」

わずかだが、動いていたんだ。

しかし、犯人たちは一切の迷いや戸惑いもなく、持っていた黒い袋を床に広げた。

見張り役に1名。他のふたりは、身動きが取れないはるかの胴体を袋の中に詰めて持ち上げる。

「問題はこのあとだ」

そのまま悠然と持ち去ろうとする3人組。

「ぁ!」

最悪のタイミングだった。

ひとりの女性の姿が別のカメラに捉えられ、犯人たちと鉢合わせになる。

帰宅したマンションの住人に思われた。だが……。

その女性は犯人たちと二言三言会話をし、あろうことか指示を出すような素振りを見せる。

さらには、ひとりになったエントランスでカメラの方をじっと見て、不気味に嗤った。

まるで、この映像を見ている僕たちを嘲笑うかのように。

「ストップ! ……どう? この顔に見覚えはない?」

――……。

静止画となった、女の堂々たる顔。

背は低く、体格は太め。俗に云う“ずんぐりむっくり”。

「畑山は今日の聴取でも言っていた。大貫幸恵は生きている、とね。この女がそうか?」

僕は冷静に答える。



 
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