ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】



「鏡だ! 鏡を使ったら、子は動けない」

「正解。それにね、磨理子さんは自分の姿を鏡で見るのがイヤだと日記に書いていた。例の時間になって現れたら、鏡に姿を映して割るの。そうすれば助かるわ」

なーんだ。終わらせる方法は1つもないなんて、ウソで締めくくられていたのか。

ここまで話すと、今度は宇治木が推測を語った。

鏡を割った時点で、それまでに呪いのゲームを始めて生き残っていたすべての人が助かること。

しかし、どこかでまた始まれば現れることも。

「それすら、敬太君のおかげでなくなったはずだった。磨理子の怨念に終止符を打ってくれたんだよ。なのに……」

目的は果たされた。十分すぎる収穫だ。

これで美佐子は死なずに済むし、後に続く僕らも助かる。

「教えてくれ。キミらの周りで、彼を見なかったか?」

宇治木は、沙奈と映る幸せそうな1枚の写真を、僕と彩矢香の前に差しだす。

——……。

できることならふたりの役に立ちたいが、いかんせん与えられる情報が皆無に等しい。

「よく思い出して!」

強く問いつめる沙奈の目に、タダでは帰さないという威圧感がみなぎってる。

これは困った。もうイチかバチか。

「そ、そういえば、覆面の男がいました! 事件を担当している浜田さんと斎藤さんに訊いてもらえば分かります」

「浜田と斎藤……」

宇治木は電話の前まで行き、置いてあったメモ帳に何かを書いて、荒ぶる声で言う。

「沙奈ちゃん! これから戻って調べてみるよ! 何かわかったら報せる! あと、来週辺りにまた顔出すから!」

「ぁ……宇治木さん、ありがとうござい…」

——ガラガラガラガラッ、ピシャッ!



 
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