ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】
めくるめく春が過ぎて、初夏の頃。
ついにそらからの手紙が途絶えた。待てど暮らせど。
もうすぐ夏休みになる。会うと約束していた夏だ。
もしや、部活動の仲間や新しい友達が、もう私のことを過去にしてしまったのだろうか。
募りに募った寂しさは、徐々に苛立ちへと姿を変える。
いや、ちがう。ダメだ。親友のことを信じてあげられないようじゃ。
と、心に言い聞かせ、私のほうから言い訳を考えてあげた。
厳しい部活。集中して練習ができる長期休みは、成長のバロメーター。
約束を破る。そんなこと、手紙で伝えづらい。
だから、大事な時期のそらを、私が理解してあげるべきなんだ。
それから、自分でも言うのもなんだが、健気に手紙を送り続けた。
当たり障りのないことを書き連ねて。
気を抜けば、《なんで》とか《もう》や《どうせ》を書いてしまう。
すぐに消して平常心を文面に彩ろうとするが、本当は、その消しゴムの角で頭を打っても死んでしまうぐらいに私は弱っていた。
結局、あの約束は果たされることなく……。