ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】



うれしくて、やっと皆の輪の中に入れる時が来たんだと思った。

疑いが消え、ハニカミながらプールサイドに立った次の瞬間!

『キャ!』

——バシャーーンッ!

尾堂直哉が、私をプールに突き落とした。

すぐに立ち上がって顔の水を拭うと、周囲が笑いの渦と化している。

『すげ!』
『やっぱデブが落ちるとあんな⁉』
『『ハハハハハハッ……』』

数秒前の期待と比べると、水の中にいても顔から火が出るほどの恥辱。

それでも毅然と水中を歩き、ザラザラした感触のコンクリートに手をつき肘を立てる。

当然、救いの手を差し伸べてくれる者などいなかった。

と、その時。

『げ⁈』
『マジかよ!!』

クラスメイトたちが一斉に、プールから出ようと躍起になる。

私のスカートは折れ曲がって、下着があらわになっていた。

焦ってすぐ元に戻しても、時すでに遅し。

——ザワザワ。
『あいつ生理じゃん』『ガチで汚い!』
『ゲロ吐きそう……』
        ザワザワ——。

最悪だ。居ても立ってもいられず、その場から逃げ出した。

すると、断末魔のような叫び声を浴びせられる。

全員が男子ならしょうがない。しかし、半分は同じ身体の構造をしている女子。

なぜ私をそんな風に扱うのか。理解と屈辱に苦しみながら、何度目かわからない涙を流した。



 
< 152 / 160 >

この作品をシェア

pagetop