ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】



「せやけど、オレには何も見えへんかったぞ」

「実は……うちも」

小さく手を挙げた茜。

「や、正確には、何かを引きずった跡が出来てくのは見えてん!」

「そうそう! でも、カタマリ?は見えなかったけど……」

不思議なことに、“ダルマさんが転んだ”に参加していないふたりだけが、実体を見ていない。

「めちゃくちゃ気味悪い……」

はるかは椅子にかけたジャケットを肩から被って腕をさする。

「そうだ!」

すると何かを思い出したように、彩矢香はバッグの中を漁りだす。

「前に見たことあったの。たしか……」

独り言をブツブツつぶやきながら、手に取った携帯をまじまじと。

「あった! これ、見て!」

すぐさま、テーブルの中央に皆の頭が集まった。

画面は有名な動画投稿サイトの再生ページ。

視聴回数37,564回。投稿日は2016年3月3日。


タイトル

【※閲覧注意※ 真夜中のダルマさんが転んだ】


それはハンディカメラで撮影された検証映像。

男女数人。午前3時の公園。

まるで30分前の僕らを観ているかのようだった。

しかし、タイトルに見合う大したオチもなく、腰パンをした若者がゲラゲラ笑って動画は終了。

――……。

これには、全員開いた口がふさがらない。

「閲覧注意って……ただの釣りじゃん」

「人生の5分をムダにした感ハンパねぇ」

その拍子抜けが後押しとなり、皆は僕と彩矢香を攻めたてる。

「お前ら、やっぱり見間違えたんじゃね?」

「んなことね゛ぇーよ!」

「見て見て! 視聴回数がミナゴロシだよ」

「ホントだぁ~。ウケる~!」

緊張から緩和に変わった、まさにその時!!

「「ぁ」」

またも玄と茜以外の携帯が一斉に鳴った。

「ん⁉」

僕の液晶に表示された文字はカタカナの【ス】だけ。

送り主は大貫幸恵。

顔を上げると、皆の反応も一様に同じ。

次々にスマホが差し出され、表情が刻々と恐怖に満ちる。



 
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