ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】
「コーヒーを淹れてくれ!」
屋敷に響き渡る威厳のある第一声。
「ん?」
目が合い、僕はすぐ立ち上がって挨拶をした。
「おはようございます」
「……キミは、水嶋先生の息子か?」
「はい。ご無沙汰しております」
「おぉー!」
ネクタイを締めながら現れたのは、宝泉賢矢。
彩矢香の父で、この家の主。
そして、資産価値数千億円の宝泉グループを一代で築き上げたカリスマ社長。
実業家として日本には右に出る者がいないとまで云われ、世界長者番付にも載る経営の天才。
近々、政界にも進出する。らしい……。
まさに、僕の尊敬の頂にいる人だ。
まぁ、そんな家柄の一人娘と付き合っていた当時の僕だって、ある意味尊敬に値する。
「父がいつも世話になっております」
「頭を上げなさい! 世話になってるのはこっちだよ。キミのお父さんには何度も会社を助けてもらってる」
きっかけは、僕と彩矢香が同じクラスになったこと。
それが縁で、父は宝泉グループの顧問弁護士になった。