ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】




「コーヒーを淹れてくれ!」

屋敷に響き渡る威厳のある第一声。

「ん?」

目が合い、僕はすぐ立ち上がって挨拶をした。

「おはようございます」

「……キミは、水嶋先生の息子か?」

「はい。ご無沙汰しております」

「おぉー!」

ネクタイを締めながら現れたのは、宝泉賢矢。

彩矢香の父で、この家の主。

そして、資産価値数千億円の宝泉グループを一代で築き上げたカリスマ社長。

実業家として日本には右に出る者がいないとまで云われ、世界長者番付にも載る経営の天才。

近々、政界にも進出する。らしい……。

まさに、僕の尊敬の頂にいる人だ。

まぁ、そんな家柄の一人娘と付き合っていた当時の僕だって、ある意味尊敬に値する。

「父がいつも世話になっております」

「頭を上げなさい! 世話になってるのはこっちだよ。キミのお父さんには何度も会社を助けてもらってる」

きっかけは、僕と彩矢香が同じクラスになったこと。

それが縁で、父は宝泉グループの顧問弁護士になった。



 
< 49 / 160 >

この作品をシェア

pagetop