ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】
「お父さんが頭を抱えながら愚痴ってたけど、キミは検事を目指してるんだって?」
「そうなんです」
「よりによって検事とはね。弁護士の敵じゃないか」
「えぇ。実は……法廷で闘ってみたいんです、父や姉と。そして勝つことが、僕なりの親孝行だと思っています」
「……なるほど」
「このことは誰にも言ってないんです。内緒でお願いします」
「あぁ、分かった。男と男の約束だ」
こうした秘め事を作ること。信頼関係を築くには、一番手っ取り早い。
「もしもその日が来たら、勝っても負けても美味い酒が呑めそうだな。お互いに」
「はい。すごく楽しみにしています」
なんて、いつから僕はこんなに嘘が上手くなったのだろう。
「何の話しをなさってるの?」
そこで母親が割りこみ、僕らは何食わぬ顔で席に着く。
「男同士のしがない話さ。な?」
「えぇ!」
「……そぅ」
首を傾げながらティーカップを置き、テーブルの反対側に回って椅子に座った。
「お待たせ! 朝食ができたよ」
凛とした笑顔で戻ってきた彩矢香。エプロンを外し、僕の横に座る。
香ばしいパンと湯気が立つスープが運ばれ、
「それじゃ、いただきましょうか」
と、母親は手を合わせる。
「ちょちょっと待ってください」
僕は突発的な違和感に声を出した。
「あの……聖矢は?」
――……。