ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】
今度は明瞭な困惑を見せる家族。
母親は開き直ったのか、椅子のひとつを引く。
「ここに座りなさい。せっかくだから、今日はみんなで一緒に食べるの」
「……ぅん」
どう見ても寝起きの服装と髪型。家を出たとは真逆の、出る準備すら整っていない状態。
「「…………」」
すっかり沈黙に陥った父親と彩矢香。
家族ぐるみで嘘をついた理由を探るついでに、第二段階を発動する。
「聖矢、大きくなったな」
「……そぉ?」
「あぁ! 前はこーんなだったのに」
少し大げさに手のひらを下げてみた。
「…………」
しかし、無反応。妙だ。
活発でいつもケラケラ笑っていた男の子のはずなのに。
見た目からして、今はその面影すら感じない。
「サッカーはどう? 続けてる?」
「…………」
「ほら、また昔みたいにふたりで練習するか!」
「……う、うん」
「そうだな……いつも行ってたあの公園はどうだ?」
「イヤだ!!」
「ぇ」
「公園はイヤだ!」
突然、パンを手に持って2階へドタバタ駆けていく。
「聖矢⁈」
――バタンッ!
僕は動揺して追いかけきれず、階段の下で呆気に取られていた。
久しいとはいえ、あんなにも拒絶反応を示すとは思いもしなかったから。
「たっちゃん、ごめんね。弟のことは気にしないで」
彩矢香は僕の背中にそっと手を置き、穏やかになだめる。
「そろそろ会社に行くよ」
ギクシャクした空気を嫌ったのか、父親はスープを半分以上残して立ち上がった。
「もう? 全然食べてらっしゃいませんね」
「うーん。最近少し体調が優れないんだ……」
場逃れの言い訳にしては少々苦しい。
この親子は一体何を隠しているのだろう……。