ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】
「ボクたちが校舎から出た時、雨が止んでたんだ……」
今の内にと、裏門から学校を飛びだした聖矢。
通学路を一本外れた駄菓子屋に立ち寄った後、駅の改札口で友達と別れた。
「電車に乗った時から、変なおじさんに見られてるのが分かって……」
「おじさん⁈ 歳はどれくらい?」
「分からない。黒い帽子を被っててよく顔が見えなくて……でも、白髪がたくさん出てたから」
その男は同じ駅で降りた。まるで尾行するかのように。
「逃げようと思って走ったんだ!」
話しながら息を上げる聖矢。緊迫感がしかと伝わった。
「男は追ってきたのか⁈」
「……ぅん」
途中、大人では通れない狭い路地が目に留まった。
肩を擦らせながら抜けると、男は向こう側でただ眺めているだけ。
“助かった”と、一息ついたその時。
目の前に黒塗りのワゴン車が急停車し、乗っていた男たちが強引に車内へ連れこんだ。
「ボク……ぁ、あ゛いつらに」
「落ち着いて! 大丈夫。深呼吸するんだ、ほら」
僕は背中をさすり、嗚咽が治まるのを待つ。
しばらくして、断片的な情報をつぶやき始めた。
「暗くて……ずっと焦げた臭いがしてて……遠くで電車が走ってる音も聴こえた」
そこが監禁されていた場所らしい。
「犯人の顔は見てないのか?」
「見たよ」
「全員知らないヤツだった?」
「……ぅ、うん」
今の返事はこれまでと少し違う。何かを隠しているようなニュアンスを含んでいた。
「本当に⁉」
「…………」
やはりそこは、まだ嘘をつきなれていない子ども。すぐ表情に出る。
吐きださせようと問いつめれば、その口から大きな爆弾が放たれた。