ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】
公園に面した大通りの路側帯に茜は立っていた。
後部座席に指し示すと、彼女は慌てて乗り込む。
――バタンッ!
「で、警察は何て?」
「あんまり話してくれなかったの。自殺なのか、事故に巻き込まれたのかも分からない。とにかく、ナオヤが亡くなったの一点張りで……」
僕はゆっくりと顔を出した眠気を振り払うように、こめかみを強く押す。
「てことは多分、誰かに殺されたんだ」
僕の見解にふたりは驚き、運転する彩矢香はこちらをわき見。
「なんで分かるの⁉」
「自殺や事故ならそう伝えるさ。でもそれが事件で、犯人がまだ捕まっていないなら、秘密の暴露を期待してんだよ」
秘密の暴露とは、警察と犯人のみにしか知りえない情報をうっかり喋ってしまうこと。
「よく刑事ドラマであるだろ? 何故あなたがそれを知っているのですか?って、犯人を追いつめるやつ」
すると、茜の頬はさらに強張った。
「じゃあうち、やっぱり疑われてるのね⁉」
「……あぁ」
「そん゛な……」
不安からか、泣きじゃくる茜。
彩矢香はフロントミラーを見ながら励ます。
訊きたいことはまだ残っていたが、キッと睨む彼女に物怖じして、上体を前に戻した。
この状況、さすがにラジオのボリュームを絞る。
やがて、車は警察署の前へ。
長い木の棒を杖のように持つ制服警官に会釈をし、3人で署内に入った。
そこで意外な人物とすれ違う。
「せ、先生⁉」
3年1組の担任、畑山だ。
彼の傍らには、スーツ姿の刑事らしき男。
「キミたちはもしかして、開桜中の生徒さんかな?」
「はい」
「わ、私が佐藤茜です」
「ぁキミが⁈ 待ってたよ、こっち」
見送るために付き添っていたように見えたが、すっかり興味の対象が茜に移った刑事。
そんな男の背中へ、深く一礼をする先生。
頭を上げた直後に問う。
「ハタセンがなんでここに?」
「…………」
しばし無言で顔をしかめていたが、やっと聞こえるぐらいの声でボソッとつぶやいた。
「キミらも気を付けたほうがいい」
「え⁈」
「これは復讐だよ」
あまりにも唐突すぎる助言に、僕と彩矢香は呆気に取られていた。
「あの……何言ってるんですか?」
そして先生は切実に語りはじめる。聞けば、直哉の死体の第一発見者だと言う。