ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】



「私は信じてるよ」

「ッ⁉」

まっすぐな眼差しで彼を見つめていた。

「サヤ、ありがとう。ひとりだけでも信じてくれる人がいて嬉しいよ」

康文は椅子に置いたばかりのバッグを再び肩にかける。

「実は昨日、携帯を失くしたんだ。朝になって気付いて探したら、あの公園の植え込みに落ちてて……だから電話に出ることができなかった」

そう説明し、さらに語気を強める。

「俺はナオヤを殺してない!」

「待って!」

背中を向けた康文を追いかける彩矢香。

男の嫉妬心ほど見苦しいものはないと思う僕は、椅子から立ち上がることをしなかった。

数分後――。

「説得したけど、やっぱり帰るって」

彩矢香はため息交じりに戻ってくる。

ちなみにそれまでの数分間は、友人を疑ってしまった罪悪感に満ち満ちた空気であった。

彼女が席へ着いたと同時に話題を戻す、はるか。

「一体、誰がナオヤを殺したのかな?」

「……やっぱり、ユキダルマ?」

「ちゃうな」

美佐子の疑問符に、すかさず待ったをかける人物。

「ゲン太……なんで言い切れるの?」

「警察は暴力団の犯行やと睨んで捜査してるらしいで」

「ゃ、ヤクザ⁉」

警視庁の刑事部長。それが玄の父親が持つ肩書き。

同級生の死に気を病んだ息子を思ってか、捜査の概要を少しだけ教えてくれたらしい。

それによりあぶり出された、直哉の真の顔。



 

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