ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】
安さが売りの居酒屋を出たのは午前1時過ぎ。
酔い覚ましに歩いて、ボウリング場へと向かう。
はるかはライトに照らされた巨大なピンを眺めながら、
「ボウリングとか何年ぶりだろ……」
と感慨深げにつぶやいた。
建物は5階建て。受付は2階。
「人数も8人だしさ、チーム戦にしようぜ!」
「オッケー」
「いいね~」
4人が一つのグループになり、隣り合わせのレーンを確保。
7人で乗り込むエレベーターの扉が開いて、亮平は大声を上げる。
「おい! 貸し切りじゃーん!」
今日は土曜日。それも、深夜。
ブームがとっくに去ったボウリング場なんて、大抵はこんなもの。
「ヤバッ! 貸し切りじゃん」
ブザーが鳴り、ひとり階段で上がってきた山口の第一声に、笑い声で包まれるフロア。
僕は急いで靴を履き替え、適当にボールを取って、選んでいる彩矢香の背後に回った。
「ねぇ」
「ん? なぁに?」
「もしかしてさ、ヤスのこと好き?」
「へ⁉」
――ガタンッ!
驚いた拍子に指がスッポリ抜け、ラックの上で踊る8ポンド。
「いきなりどうしたの⁈」
「帰ろうとしたアイツのこと追いかけたでしょ? みんながいたから平然を装ってたけど、ホントはすごく嫉妬してた」
僕の素直な気持ちに、頬を赤くして面と向かうことをやめる彩矢香。
「うん、好きだよ」
「ぇ⁉」
思考を壊滅させるほどのショックで、持っているボールがさらにずっしりと重く感じた。
「だって、友達だもん!」
「……ぁ、あぁ。だよな」
「明日でもいいから、疑ったことをちゃんと謝るんだよ?」
「うん、分かった」
軽くかわしたようなその答えは、僕の心を転がしているようでもどかしい。
この際、ハッキリさせよう。