ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】
僕の鼓膜を、アイスピックで突き刺すかのような耳鳴り。
「ぁ……ぁぁ゛あぁ゛」
「リョウ⁉ どうした⁈」
彼はカッと目を見開き、徐々に後ずさる。
そして、玄の足につまづき激しく転倒。
しかし、視点は一切ブレていない。
「頭……ぉ゛、女……」
僕は、震える人差し指の先を追う。
「な゛!?」
球の排出口に、生気のない青白い女の顔があった。
「キャアァ゛―――!!」
――ズズズズズズッ。
美佐子の悲鳴が合図となり、女は肩をくねらせてそこから這い出てくる。
「き、昨日と同じだ……」
同じ女だ。
ひとつ違うのは、冷酷な瞳の矛先が亮平に向いていること。
その彼は何度も目をこすり、目の前の光景が現実かを確かめている。
手足の無い異様な身体の全貌を見せつけた時、ハンドドライヤーの風に巻き上げられた漆黒の長い髪。
「ッ……」
僕にはそれが魂ごと奪い取る触手に見え、恐れる以外の感情がすべて吹き飛んだ。
「逃げるぞ、リョウ!!」
腕を引き上げ、思いっきり引く。
「彩矢香! 早く!!」
すでに魂を奪われたのか、得体の知れない存在に視線が釘づけの彼女。
「お゛い、彩矢香!!」
「……ぁ」
正気に戻ったその腕も抱えこみ、階段で下へ降りた。
足が震え、何度も踏み外したのは言うまでもない。
「どうしたんだよ⁈」
「何があったの⁉」
玄と茜はそればかりで、はるかと美佐子は泣くばかり。