ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】
時の流れと皆の呼吸が一瞬止まるシンクロ。
これぞ、衝撃。
一番驚いていたのはやはり、幼なじみの康文。
「焼身自殺だったらしいよ。すぐ傍に遺書があって、筆跡鑑定で本人と断定もされている」
それ以上詳しくは教えてくれなかったが、天才と呼ばれるに相応しい手法を用いた、とのこと。
「ありえません! だって僕ら、彼女からメッセージが届いてるんです!」
「恐らくそれは、大貫幸恵の名を騙っている誰かだろうね」
ちぐはぐになり始めた真実の糸。そして、犯人の意図。
予想だにしない展開の後、刑事はここへ来た真の目的をさらす。
「すまないが、キミたちの持ち物を調べさせてもらってもいいかな?」
「っ?!」
「ど、どうして?」
僕の肝心な問いにふたりは目を合わせ、口をつぐむ。
卑怯な警察の対応に、この男が黙ってはいなかった。
「こっちの質問にも答えろや! ダチが死んでんねん!」
その名は、玄一郎太。
「これ、任意やろ? オレは拒否や!」
「……ほぅ。もしや、見られるとマズい物を持ってるの?」
一歩も譲らぬ押し問答の末、とうとう玄は切り札を出す。
「ええん? あんたらの態度に不満があるてオヤジに言うたら、明日から交番勤務になるかもしれへんで」
「フンッ、何の冗談かな?」
鼻で笑うふたりに、改めて自己紹介。
「げ、玄⁈ ってまさか……刑事部長の!?」
「息子や!」
真っ逆さまに顔が青ざめるのを確認し、玄はしてやったり!と頬を緩ませ、あえてなのか下手に出た。
「せやから、教えていただきませんか? どないな理由があってオレたちの持ちもんを調べるんです?」
彼に剣は必要ない。強大な後ろ盾で、重い口をこじ開ける。
「実は……」
直哉と亮平の財布の中から、おそらく同じ成分の危険ドラッグが見つかったらしい。
瞬間、僕の脳裏に甦る。
カラオケボックスで、直哉がこっそりアイツに何かを渡していたあの場面を。
「自ら手足を斬るなんて、狂気以外のなにものでもない。キミたちだってそうは思わないか? だが、危険ドラッグを使用していたのなら腑に落ちる」
――……。
なるほど。たしかに浜田の言うとおりだ。
使用者の甘い考えが、これまでたくさんの罪のない人々の命を奪ってきた。
その事実を照らし合わせれば、亮平は自分の命を守れなかった、ただの愚か者。
呪いは本物だと信じた自分自身がバカバカしく思えた。