ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】
「こんなすげートコ住んでんのか……」
おそらく建ったばかりの超高層マンション。
僕は首が痛くなるほど上を見上げ、
「すごーい!」
なんて言いながら口を開ける彩矢香に、
『いやいや、おたくのほうが…』
と、心の中でツッコミを入れた。
「パパが私のために買ってくれたの」
そんなことは言われなくても分かる。
どう考えたって、駆け出しのグラビアアイドルが住めるような所じゃない。
「ご苦労様でーす」
先頭は入れ替わり、正面入口のすぐ左にある警備員室へ愛嬌をふりまくはるか。
小窓から覗きこむように、初老の男性が満面の笑みで応対する。
「こんばんは! 今日も可愛いね」
「ありがとー! って、どうせ若い子みんなに言ってるでしょ?」
「バレちまったか。ハハハッ――」
エントランスキーを回しながらの談笑。
あたかも馴れた様子から、日常的に会話をしていると推測できた。
僕と同じで初めて訪れたのか、彩矢香は周囲を流し見て、視線が落ち着かない。
2つある内の左側のエレベーターが先に着いて、両開きの扉がスッと開く。
「あの警備員室って、24時間常駐してるの?」
「うん」
「じゃ、女の子の独り暮らしには安心だ」
「そうね」
部屋は17階の角だった。
玄関が開いて真っ先に目に飛びこんできたのは、ピンクを基調とした派手なキャディーバッグ。
「お前、ゴルフするのか?」
「パパの影響でね! 少し汚いけど、遠慮せずにくつろいで」
はるかはおもてなしの心でちょこまかと動き回り、僕は緊張がバレないようにテレビのチャンネルを1から順にザッピング。
「ねぇ、ピザでも頼む?」
「ぉいいじゃ……あれ?」
それは12のボタンを押したとき。