ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】
『グッさん、どうだ?』
『動きなし。それに、さっき電気が消えたよ』
『警察は?』
『いるよ。俺たち、刑事の張り込みの後ろで張り込んでる』
『フッ。朝までちゃんと見張ってろよ』
『け、偉そうに! クソ寒いこっちに比べりゃ、お前のほうはハーレムでいいよな』
『は?』
『俺なら巨乳のはるかとヤるけど、やっぱりお前は元カノ?』
背後から、彩矢香が耳をすり寄せる。
「誰と話してるの? ゲン太?」
『じゃ、じゃあな!』
レベルの低い会話を聞かれたくなくて、僕は一方的に通話を切った。
「ぇ、何? なんで切ったの?」
「……何って、何?」
目を細める彩矢香。こういう表情も絵になる。
「あ、ほら!」
最高のタイミングで本編が始まった。
物語の冒頭、数年前をふと思い出す青春の場面がめくりめく。
主人公の女子高生は、どこか陰があり、オレ様思考のヤンキーを気にするようになった。
よくあるパターン。
ある日、そんな彼がふと見せた優しさで、恋心が芽吹く。
ここまでくるとヘドが出そう。
《「お前、耳まで赤くなってるぞ。もしかしてオレのことが好きなのか?」
「そ、そんなことない゛!」
「……ほら。すごく熱い」
「ッ……か、からかわないでよ……」》
クソイケメンは、しょーもないヒロインの耳を持ったままキスをする。
「ヤバッ」
「チョ~いいー」
あからさまに狙っているラブロマンス。
案の定、悶絶する彩矢香とはるか。
それからは苦難の連続とライバルの出現に、主人公の心が揺れ惑うお決まりの展開。
だが、初恋の道に行き止まりはなく、それなりのハッピーエンドを迎えた。
画面が暗転し、僕はふたりの様子を探るように横目でチラリ……。
「っておい!」