ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】
「10分で着くって!」
そう言われると、なんだか希望が湧いてきた。
「急ごう!」
「うん」
目が回るぐらいの右回りを繰り返し、やっとのことで地上に到着。
正面玄関へと向かい、警備員室の小窓から声を張りあげる。
「すみません、エントッ゛?!」
「ンン゛、ン!」
唐突に襲った非日常は、僕らに限ったことではない。
「だ、大丈夫ですか!?」
手足をロープで縛られ、床に倒れている警備員。
半開きになっていた扉から入り、口を塞いでいた粘着テープをはがす。
「警察! 今すぐ警察を!」
「何があったんですか?!」
僕が拘束を解きながら訊ねると、
「覆面をした男たちに突然襲われて、ヤツらはマンションの中に入って行った。何かとんでもないことが起きるかもしれない!」
そう興奮状態で答え、自由を取り戻してすぐさま受話器を握る。
「お願いします! エントランスを開けてください」
彩矢香が切実に訴えると、警備員はあるボタンを指差す。
僕はそれを、勢いよく手の腹でグッと押しこんだ。
途端、音を立てて開く扉。
「よしっ……」
これで物質的な隔たりはなくなった。