ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】
混濁する意識の中、私はあの女に泣きながら言ったんだ。
『どうして……』
同じ女なのに。
『な゛、なんで……』
これがどれ程の屈辱かわかるはずなのに。
『こんなことさせる゛の゛?』
と。あの女はすぐに答えた。
『なんでって……ヒマだから?』
そう、ほくそ笑んで。
『ャメ゛ッ……ヤぅ゛……っ゛……ャ゛ぅ……ぅ゛……』
このとき、奈落の底を見る。
どこを見渡しても、私を暇つぶしの玩具として弄ぶ餓鬼がいる。
『なんかキモいから、先に帰るね!』
泣き叫んで抵抗しなくなった私を見届け、宝泉彩矢香は去って行った。
『あ~ぁ。オレ、あいつともヤりたかったな』
『 …… …… ……ッ……』
『バカ! 父親の財力で消されるぞ!』
『 ……ッ…… …… ……』
『んじゃ早くしろよっ! 次、オレな』
『いやいや! 俺だろ!』
自尊心と魂を身体から離脱させた私には、それがどれくらい続いたかわからない。
1時間なのか、1日経ったのか……。
空き家の中が暗くなった頃、腹を満たした餓鬼は悪魔に脱皮する。
『また呼ぶからな! 次は母親も連れて来いよ!』
山口は私の携帯を揺らしながら、顔を近づけて言う。
『なんかさ、あいつの身体変じゃなかった?』
『たしかに!』
『よく言うよ! お前、3発もヤったくせに』
『溜まってたんだよ!』
『『クッハッハッハッ……』』
最後の最後まで、私をコケにして消えた。
——……。
『グズッ……ぅう゛……ア゛アァ゛ーーー……』
一つずつ、強制的に削除されてゆく。
愛依の口唇に付いたホイップクリームも、あきほの変顔も、マナトくんとの幸せな日々も。一つずつ。
楽しかった記憶がすべて消えたとき、私は地獄の果てにいた。