ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】



混濁する意識の中、私はあの女に泣きながら言ったんだ。

『どうして……』

同じ女なのに。

『な゛、なんで……』

これがどれ程の屈辱かわかるはずなのに。

『こんなことさせる゛の゛?』

と。あの女はすぐに答えた。

『なんでって……ヒマだから?』

そう、ほくそ笑んで。

『ャメ゛ッ……ヤぅ゛……っ゛……ャ゛ぅ……ぅ゛……』

このとき、奈落の底を見る。

どこを見渡しても、私を暇つぶしの玩具として弄ぶ餓鬼がいる。

『なんかキモいから、先に帰るね!』

泣き叫んで抵抗しなくなった私を見届け、宝泉彩矢香は去って行った。

『あ~ぁ。オレ、あいつともヤりたかったな』

『 …… …… ……ッ……』

『バカ! 父親の財力で消されるぞ!』

『 ……ッ…… …… ……』

『んじゃ早くしろよっ! 次、オレな』

『いやいや! 俺だろ!』

自尊心と魂を身体から離脱させた私には、それがどれくらい続いたかわからない。

1時間なのか、1日経ったのか……。

空き家の中が暗くなった頃、腹を満たした餓鬼は悪魔に脱皮する。

『また呼ぶからな! 次は母親も連れて来いよ!』

山口は私の携帯を揺らしながら、顔を近づけて言う。

『なんかさ、あいつの身体変じゃなかった?』

『たしかに!』

『よく言うよ! お前、3発もヤったくせに』

『溜まってたんだよ!』

『『クッハッハッハッ……』』

最後の最後まで、私をコケにして消えた。

——……。

『グズッ……ぅう゛……ア゛アァ゛ーーー……』

一つずつ、強制的に削除されてゆく。

愛依の口唇に付いたホイップクリームも、あきほの変顔も、マナトくんとの幸せな日々も。一つずつ。

楽しかった記憶がすべて消えたとき、私は地獄の果てにいた。



 
< 114 / 163 >

この作品をシェア

pagetop