ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】
『ふぅー……』
表札の前に立つと、さすがに緊張する。まだ家があった安堵も半分。
しかし、外観はなんだかくたびれていて、昔のイメージと重ならない。
——ピンポーーン。
1度では反応がなく、2回目を押そうとしたとき、
——ガチャッ。
玄関の扉が開いた。
出てきたのは、そらのお母さん。
『あなた、もしかしてさっちゃん?』
『え、えぇ』
すぐに気づいてくれた。それだけで涙が溢れる。
『やっと……やっと来てくれ゛たのね』
お母さんに至っては大泣き。
『やっと?』
私の疑問符にすべてを察したのか、涙を懸命に拭って答える。
『あの娘に会いに来てくれたの?』
『はい。今もこの家にいますか?』
『……いいえ。いないわ』
『そ、そうですか……』
『とにかく、入って。どうぞ』
私の手を引いたまま離さず、玄関から上がったすぐ脇にある和室の襖の前で、目をじっと見つめた。
『あの娘はここにいる』
『え⁉ さっき、いないって……』
『いないわ。だって、天国にいるから』
——サササササササッ。
『そ……』
襖が開けられた瞬間、私は失意の弾丸に膝を撃ち抜かれた。
『そんな゛……』
彼女が遺影になっていたからだ。