ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】
お母さんはこうなることを予期し、すぐに私の身体を支え、座布団の上に座らせた。
ほどなくしてお父さんがやって来て、ふたりで右側に腰を下ろす。
『中学1年の9月1日だったよ。亡くなったのは……』
両親は語ってくれた。そらが亡くなるまでの経緯を。
その日に彼女は、星都中の舞台の上で首を吊って自殺した。
後に判明した自殺の動機は、部活内でのいじめ。
『あの娘、正義感が強かったでしょ?』
『は、はぃ゛』
入部当初、先輩部員たちは1年生に暴力まがいの指導をしていた。
暗黙の通例だが、彼女はそれを許せず先輩に楯突く。
結果、行き過ぎた指導はなくなった。
しかし、先輩たちは秘密裏に1年生部員へある指示を出す。
『娘をバスケ部から追い出すために、いじめをやるように言ったんだ』
部活を続けたい気持ちと上級生への恐怖心で、助けてくれたはずのそらに対するいじめがはじまった。
——ギギッ。
悔しくて奥歯が鳴る。最たる不条理に、怒りがマグマのように湧く。
だが……。
『当時は全国ニュースでも大きく取り上げられてね、学校も教育委員会もいじめの事実を認めて謝罪してくれたわ。でもね、認めた途端にメディアは次の興味に移って、すぐに風化してしまった。世の中ってそういうものなのね……』
私は忘れるどころか、知ることもなかった。気付いてすらあげられなかった。
身体は遠く離れていても、心は近くにいる存在だったのに。
彼女は、手紙も返せないぐらいに悩んでいたんだ。
それなのに私は、私の悩みに気付いてほしいと願うばかり。
勇気だの、本当はくだらないプライドだった。
もし、夏休みに私のほうから彼女に会いに行っていたら……。
そう考えると、自分自身にも無性に腹が立つ。