ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】



翌日。

そらのお父さんが東京までやって来て、社長に直談判。

トントン拍子で事は進み、ある大学病院で手術を受けることが決まった。

【脊柱側彎症】

背骨が大きく歪曲してしまう、成長期の女子に多い症例。

そらのお父さんは、私を部屋に抱えて運んだ時に気付いたらしい。

中学時代に太っていたせいもあって発見が遅れ、かなり重度の状態だった。

しかし手術は無事成功し、経過次第では3週間で退院できる。

『ありがとうございます。この病院って、手術実績が日本でトップクラスなんですよね?』

『そうなんだ。ここに大学時代の同期がいてね、口を利いてもらったんだよ』

『人生、何が起こるか分からないですね。ホント、お金貯めててよかった』

『それは心配要らないよ。もう退院までの費用は払ってあるから』

『へ⁈』

驚いて仰向けになろうとした私を、そらのお父さんは全力で制止する。

『ダメだよ! 当分うつ伏せのままじゃなきゃ!』

『でも! だって……』

『せめてもの礼だ。いじめの加害者を告発したのはさっちゃんなんだろ?』

『…………』

『私たちは何もできなくて、娘を裏切っていじめた当人はのうのうと生きてた。なのに、さっちゃんはすごいよ! 本当にありがとう』

『そんな゛こと……』

人生で初めて、心から喜べる達成感を得た。

私は間違っていないんだ。何があっても信念を貫こう。

そう思えた瞬間だった。

嬉しさで枕を濡らすには、うつ伏せが丁度いい。



 
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