ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】
顔認証システムから抽出し、すべてを数値化した一覧と写真を持って、成長著しい整形外科を尋ねる。
たった一言、
『この顔とまったく同じにしてください』
とお願いしたが、
『倫理上そういうのは……』
適当にあしらうように、あらかじめ予想していた通りの答えが返ってきた。
相手も客商売だ。先々の利益に繋がると思わせれば、表面上の倫理観を崩すのはいとも容易い。
『この写真の女性は、ある国の王位継承第一位の王子と近々結婚します。ですがその国は内乱が続いていて、王族は常に命の危険に晒されています』
『まさか……』
『はい。私がこの女性の影武者になるんです。もし手術をしてくれたら、必ずや王族は称賛し、この病院の発展は約束されたも同然です。それでも、断りますか?』
『いや、ちょっと待ってください!』
血相を変えた医師は、私を院長室に案内した。
いかにもお金が好きそうなタヌキが現れ、その時点で目的が達成されたと確信する。
『内海くん、どうなんだね? 可能なのか?』
『は、はい! 顔の骨格が似ていますし、それぞれのパーツもそう遠くないです。写真の90パーセント以上は確実に』
顔を専門にする医師までもが、あの女に似ているとぬかしやがった。
受け入れたくない。だがしかし、私はこれから宝泉彩矢香に生まれ変わろうとしている。
なんとも不思議なジレンマだ。
数十分後、野心で目をキラキラさせた内海は、整形費用を提示した。
『少しサービスしておいたよ!』
その額、5,775,000円。
これが避けられない問題だ。
貯金額は50万程度。十倍以上もあるこの費用をどうするか。
すぐに面白い答えが浮かんだが、新たな問題も連れてくる。
独りでは厳しいという点だ。
そこで私は、ネット上に仲間を募った。絶対に裏切らない同志を……。