ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】
『世界を変えるなんて、少なくともこの国の総理大臣にならないと不可能ですよ』
『えぇ。だから……なります!』
皆は度肝を抜かれていたが、それでも大真面目な私を見て、
『クッハッハッ。あんた、おもろいやん! どうせ一度失った命やさかい、あんたに賭けるみるわ!』
やはり関西人はノリがいい。
彼に続き、気弱な元外科医と過去の私も賛同してくれた。
これが、復讐の騎士団結成の夜となる。
潰れた町工場の事務所を拠点にし、数台のPCを活用して、情報収集からはじめた。中古で黒いワゴン車を購入したのも同時期。
最初の仕事は、宝泉彩矢香の弟である聖矢を身代金目的で誘拐するという計画だと告げた。
しかし、優しさが取り柄の彼女はすぐに反発。
『姉への復讐に、まだ小学生の弟を巻き込むんですか⁉』
『そうよ』
『あまりにもかわいそうです。心に一生のキズを負うかもしれないんですよ!』
『……そうね』
早くも3対1の構図になったが、私は怯まなかった。心の中に確信めいたものがあったから。
『じゃ、3人で徹底的に聖矢の周りを探ってみて。その結果次第で、計画を変更するか判断するわ。いい?』
渋々聞き入れ、彼らはリサーチをはじめた。
仕事を続けていた私が一週間後に拠点へ顔を出すと、全員がバツの悪そうな表情で迎える。
『どうだった?』
『……もしかして、最初からわかってたんですか?』
聖矢の同級生に話を訊いた結果、彼はいじめっ子のリーダーで、すでに2人の生徒を転校させているらしい。
『他にも数人の被害者がいましたし、現在ターゲットになっている子も別にいるようです』
『ガキのくせに、コイツは性根が腐っとるな!』
『金持ちの子は心が貧しいってよく云いますよね……』
確信めいたものは、調査結果として浮き彫りになった。
これにて満場一致で、宝泉聖矢の誘拐が決まる。