ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】



どうやら、店を閉める前に客が入ってきたらしく、終わったのは予想よりも大幅に遅れた2時半前。

少しでも身体を揺らしていないと凍りそうな寒空の下、僕らは美佐子を待っていた。

「ごめーん! 酔っ払いがなかなか帰ってくれなくて」

申し訳なさそうに謝る彼女の手には、大量のコスチュームが詰まった紙袋。

「何だよ、それ?」

「うん。あのね」

今日は、【コスプレナイト】と銘打ったイベントだったらしい。

「で、その酔っ払いが席を立った時によろけてさ、グラスが倒れて私のセーラー服に赤ワインがかかったの!」

閉店後の更衣室で、これからコインランドリーに行ってすぐに洗うと告げた結果……。

「これよ!」

以上、気になった点はひとつだけだ。

「え。コインランドリーって、僕らも?」

「サ~ヤー、おねがーい」

僕の許可は二の次。しかし彩矢香は二つ返事で、

「全然いいよ!」

と、3人で、車を停めてあるコインパーキングに向かう。

「何をそんなにキョロキョロしてるの? 田舎から出てきた人みたいだよ」

美佐子は、ひとり後ろを歩く僕の様子をそう言った。

「誰かに尾行されてるかもしれないからね!」
なんて言えるわけもなく、

「いやー、雪が降る池袋もロマンチックだなと思ってさ」

「……キモっ!」

で、解決。

車の下を覗きこみ、例の携帯がまだあることを確認したときも、

「なんか、今日のタツミ変じゃない?」

と、彩矢香に同意を求める美佐子。

「そ、そうかな……」

知る由もない。彼女は僕の味方。

運命共同体と言っても過言ではないぐらいだ。



 
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