ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】
ついに仲間たちが躍動した。
【イジメの末路】というメッセージが世に知らしめられ、生贄が増えるごとに全国へ浸透。
上々の滑りだし。これはある法案を新設するための大事な布石だ。
しかし、何もかもが予定調和の上を歩いているわけではない。
水嶋辰巳の存在が大きすぎた。
彼はまだ、宝泉彩矢香に思いを寄せている。
底知れぬ優しさと、私を懸命に守ろうとしてくれたり、父親の賢矢にも男らしくはっきりと断言した。
遠い昔に感じた絶望的な差が今は無く、その求心力は氷で固めた心をゆっくりと溶かす。
『朝からイヤなこと思い出させたな。さ、部屋に戻って一緒にゲームでもやろう!』
『……ぅ、うん!』
それは、殻に閉じこめておきたい聖矢も。
誤算だった。恋を望む衝動が、私にもまだ残されていたなんて。
わかっている。何度も自分に言い聞かせた。
瞳に入れているのは大貫幸恵ではなく、宝泉彩矢香。
だとしても、彼の思いを受け入れたい私がいた。
時間を共にすることを、幸せだと感じる瞬間の連鎖があった。
決定づけたのはあの日。群馬での時間。
沙奈の妊娠と出産は把握していたが、哀しみを滲ませる表情を目の当たりにして、自分がいかに冷酷無比な人間かを思い知る。
大橋敬太は非の打ちどころのない素晴らしい人であり、彼女もまた母性に満ちた美しい女性だった。
ふたりならきっと幸せな家庭を築いていけたのに、私がそれを奪った現実。
自然に涙が溢れていた。
それだけでなく、私の腕の中で眠る小さな赤ちゃんが、大きな野望の城壁に穴を開ける。
女としての幸せとは厄介な代物だ。
疲れもあいまって、信念と視野が激しく揺れてしまった。