ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】



私の身体を気遣いつも通りの優しい彼は、妄想で終わるはずだった世界へと誘う。

『ホントに入るの?』

『少し休むにはちょうどいいでしょ?』

『私、ラブホとか入ったことないんだけど……』

何もかもが不安でいっぱい。消えない過去と、背中にある傷のこと。

だけど、それを拭えるのは彼しかいないと思った。

身体と魂が汚れる前に恋をした水嶋くんになら、初恋から現在までを切り取って、憎しみや苦痛から解放してくれるかもしれない。

その揺らめきはすなわち、仲間に対する裏切り。

でも、知りたい。愛する人に抱かれるとはどういうものなのか。

見てみたい。それによって、どんな選択肢が現れるのか。

彼に賭けようと、初めて自ら肌を晒した。

なのに、男と女の思惑ゲームにシフトしてしまう。

私は、一度見たモノや聞いたコトを忘れない特性がある。

どんな場所か妄想を膨らませていたぐらいだから、(興味のあること)も該当する。

シャワーを浴びて戻ると、操作パネルの上に置かれていた避妊具がすり替わっていた。

何故そんなことをする必要が?
もしかして、何か細工を?

そんな疑念が頭の中を巡って、

『ぁでも、やっぱり寝る! 帰りに事故起こしたくないし』

『え⁈ ハ⁉』

持ち前の臆病さで背を向ける。

だけど水嶋くんは、背中の手術痕を見た後に、「愛してる」と言ってくれた。身体がきしむほどに強く抱きしめて。

たくさん傷ついてきたから、人をどうやって信じ愛するのかがわからなくてもどかしい。

でも、この時強く感じた思いがあった。

仲間は許してくれるだろうか。

助けたい人がふたりもいることを……。



 
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