ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】



自信に満ちた問いかけ。ヤツは私を、真相のロープ際へと追いつめる。

『証拠は?』

『ヤボなこと言うなや! お前そのものが証拠やろ。DNA、指紋、筆跡、あと……記憶も』

『記憶?』

『下にいる母親に訊いてみるか? 家族で行った旅行先やら印象に残っているはずの思い出、その全部答えられないだろ⁈ 何故ならお前が、宝泉彩矢香じゃないからや!』

『…………』

脆弱な部分を的確に突いてくる推理。

もう、認めるしかない。

『どうして……いつ、気付いたの?』

私の言葉で緊迫の糸は切れ、腕が圧力から解放された。

『同窓会の日や。お前、ヤスのこと“やっくん”って呼んだやろ?』

『ぇ⁈』

たしかに、再会できたことで気分が高揚して、つい昔のように呼んでしまったのは事実。

でも、

『それだけで⁉』

私が大貫幸恵だと見破ったというのか。

『あぁ。お前がいじめられるようになったきっかけもそれやからな』

中学時代、上村くんと日直を担当した日があった。

私は緊張して、その時何を話したか憶えていない。

だが、玄はこっそり私たちの会話を聞いていたらしい。

『お前があいつをそないに呼んどったから気にのうて、担任に訊いたんや。そしたら、同じ小学校出身っちゅうんがわかってな』

それを宝泉彩矢香だけに教え、彼女がクラス中に広めた。

『呼び方ひとつで教室の色が変わった。人を操るほど愉快なもんは無いで』

『アンタが……』

首謀者を操った黒幕。

眠りにつかせようとしていた怒りが再び目を覚ます。やはり私は、復讐に生きるしかないのか。

罰を受けるべき者がもうひとり増えたが、1つ問題がある。

この男はゲームに参加しておらず、伊達磨理子の力が及ばない。

苦渋の決断をするしかなかった。



 


 
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