ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】
父と上村くんを天秤にかけた。
彼が死なないと希望を持って、仲間が見つけてくれると信じて、私はICUに戻る。
誰かれ慌ただしいその中だけは、深夜未明の病院と一線を画す。
『お父様……』
周りに異常を警告する機械音が鳴り響く。
集まった縁のある人たちが、矢継ぎ早に呼びかけていた。
やがて、一定の音がこだまする。
『皆さん。もっと声をかけてあげてください!』
——ピーーーーーーー。
すぐに心臓マッサージをはじめた主治医。
力を込めて押すたび、父の身体が小刻みに揺れていた。
『社長!』『死ぬな!』
『賢矢』『叔父さま!』
『あ゛なた……戻ってきて……』
私にはまだ肉親を失う心構えができていなくて、集中治療室の外へ逃げる。
椅子の上に置いていた携帯が震えていた。仲間からの電話だ。
ひとつぐらい希望があってもいい。それさえあれば、重くのしかかった罪の意識が少しは軽くなる。
『見つかったの⁉』
『……はい。沿道を走る彼を見かけて、すぐに追いました』
喜びは一入、だが一瞬。
『すみません。追いついたときにはもう……』
『死……んでたの?』
『いいえ。意識はあります。ただ、カラスに手足を襲われていて、いま病院に向か…』
『彼と話をさせて!』