ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】
乾燥機の中だけが地獄絵図だった。
「「…………」」
僕らは、ただただそれを見せられる。
——ピー、ピー、ピーー。
やがて、動きを止めた。
「ミサコ!」
とっさに這い寄り、人差し指だけで開く扉。
「くっ……」
「キャ゛ッ!」
あまりの無惨さに、囚われて凝視する僕と、顔を背けて逃避する彩矢香。
「ミ、サコ……」
手足がすべての関節からあらぬ方向に曲がっていた。
首も反転し、肩甲骨が顎の下にある。
さらに驚くべきは、
「ガ……ガハッ、い、いたい゛よ……」
そんな状態でも、意識があったのだ。
まさに奇跡と呼ぶにふさわしく、わずかな望みに賭ける。
「彩矢香! すぐに救急…」
振り返り、僕は絶句した。
「どきなさい。さもないと、殺すわよ」
声の主は女。
その後ろに、彩矢香を羽交い絞めにして、首筋にナイフを突きつける覆面の男がふたり。
「お前ら゛……」
そう、あの3人組だ。
「聞こえなかった? それとも、大切なカノジョの血を見たい?」
ナイフを手に取った女は、皮膚に押しつける。
「ッウ゛……」
「ま、待て! わわかった!」
僕は扉の前から離れ、両手を上げる。
「タ……ッミ゛。た、すけ……て」
美佐子の悲痛な声が聞こえたが、今の選択肢では、彼女の命に目をつぶるしかない。
逆らったところで、絶望的な瀕死の状態に変わりはないのだから。
「それでいいのよ。さぁ」
女の号令で、男たちは乾燥機から美佐子の身体を取りだし、後部座席のドアを開けた黒塗りのワゴン車に運んだ。