ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】
携帯を受け取り、僕から離れた刑事は、電話をしながら何度も頭を垂れていた。
『はい……わかりました……はい、はい! そのように』
帰す刀、彼は言う。
「キミたちは殺人と遺棄に関与していないとの警視正からのお墨付きだ。あと少し話を聞いたら、帰っていいよ」
「ぁありがとうございます」
この感覚を表現するなら、とてつもなく強い武器を手に入れた勇者のよう。
もう一度経緯を話し、動画を捜査員のPCに転送して解放された。
「そのタイヤじゃ危ないから気をつけて!」
「「はい」」
「では……」
しかも、敬礼付きの見送りで。
だからと言って、歓喜に沸く車内ではない。
沸々と込みあがる哀しみに襲われていた。
「ごめん……」
限界がきたのか、彩矢香は駐車帯に車を停め、ハンドルを握りしめて静かに泣く。
僕は彼女の身体を引き寄せ、背中をさすって慰めた。
「今日は、ここで朝になるまで待とう」
「……ぅ゛うん、大丈夫だから゛」
「ちがうんだ。僕に考えがある」
「……どんな?」
「大貫の実家に行って、本当に彼女が死んでいるのかを確かめる」
彩矢香は驚いて顔を上げ、潤んだ瞳で問う。
「住所は? どうやって調べるの?」
「そ、それはまだ……朝までに考える!」
あまりにも脆弱な考えというのは認めるが、静岡へ来たことには必ず意味があるとも思っていた。
「だから、協力してほしい」
「……うん。わかった」