再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
作業に夢中になっている間に、あっという間に午前の業務が終了した。
昼休みに入っても手を止めることなく作業を続けていると、瑠花の明るい声が聞こえてきた。
「紗菜美、お疲れ様。ランチ行かない?」
「瑠花、お疲れ様。あの、ランチには行きたいんだけど……作業がなかなか進まなくて、今日は無理そう。……ううん、しばらく無理かも……」
私は足元にある資料の山を見ながら、冷や汗が出そうになりながら答える。
午前の業務が終わるまでに半分は終わらせる予定だったのに、まだ4分の1も進んでいないくらいだ。
ランチに繰り出して瑠花とおしゃべりしたい気持ちはあるけれど、しばらくはオアズケにしたほうがよさそうだ。
「そうなの? 最初なんだし、そんなに無理しなくてもいいんじゃない? もしかして、無理なこと言われた?」
「あっ、ううん、そうじゃないの。でも、早く瀬戸さんの役に立てるように頑張るって決めたから。誘ってくれたのにごめんね」
「私はいいけど、無理しないようにしてよ」
「うん、ありがとう。落ち着いたら一緒にランチしてね」
「もちろんよ。じゃあ、頑張ってね」
瑠花の労いの言葉に感謝しながら、再び資料に向き合う。
でも、瑠花と会話したことで気が抜けてしまったらしく、思い出したように私のお腹が鳴いた。
腹が減っては、戦はできぬ……。
お腹をさすりながらデスクの引き出しを開けると、困ったときの心強い味方である一本で満足できるという栄養調整食品が顔を出した。
経理課にいたときは突然残業を頼まれることがあったため、すぐに食べることができるお菓子などを常備しているのだ。
私はそれを取りだして食べながら、資料に向き合った。