再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
私がほとんど踏み入れたことのない部屋に向かい始めたことに気づいたとき、改めて身体の熱が上がっていることがわかった。
心臓の音がうるさく響く。
航くんは寝室の扉を開けると、リビングを明々と照らしていた照明を消し、寝室の入り口のそばにある照明をつけた。
その淡い灯りは眠ることを邪魔しないくらいの明るさだ。
備え付けのクローゼットとベッド、そして照明が置かれているくらいのシンプルな部屋なのに、照明がうまく雰囲気を作り出していて、私の感情はまた高まった。
航くんは私の手を引き、後ろから抱きしめてくる。
耳に彼の唇が触れ、緊張感が増して身体に力が入った瞬間、彼が私の名前を呼んだ。
「紗菜、緊張してる?」
「……うん」
「俺も」
「え?」
聞き返したとき、航くんは私を抱き抱えるようにしてベッドの上にダイブした。
突然視界が回転して驚いた私は、声をあげてしまう。
「ひゃあっ!」
「もっと色気のある声くらい出せよ。紗菜が大好きなムードが台無しだろ」
「ムードを壊してるのは航くんでしょ!? もうっ! 航くんのバカ!」
「黙れ」
「んっ……」
せっかくのいい雰囲気を壊されて思わず怒ってしまったけれど、今のは私と彼の緊張をほぐすための彼なりの行動だと、優しく啄むようなキスをされながらすぐに気づいた。
素直な感情を出せずに意地悪なことをしてしまう少し不器用な彼が愛おしくてたまらなくて、何よりも航くんと一緒にいられることが嬉しくて、ふたりでじゃれ合うようにキスをしてクスクスと笑い合う。
お世辞にもロマンチックとは言えないけれど、幸せだからいい。
しばらくして私の身体が回転して航くんに組み敷かれたかと思えば、彼の柔らかい唇が降ってきた。
今度ははっきりと感じる帯びた熱が気持ちよくて、もっと欲しいとねだるように彼に抱きつく。
次第に彼の唇や手は器用に服を取り払いながら私の身体を這っていき、私が反応してしまうところを見つければ意地悪く刺激してきて私を翻弄する。
航くんが触れるところは全部気持ちよくて、心も身体も全てが愛されていると感じる。
だから私も航くんに触れ、愛を伝える。
経験があろうとなかろうと、私たちにはなんの問題もない。
ただふたりでこうやって抱き合えればそれでいい。