再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
 
彼のぬくもりが気持ちよくて、このまま彼の胸の中で眠ってしまいたいなと思っていると、航くんが「あ」と何かを思い出したように声を発した。

私は顔を上げる。


「どうしたの?」

「今日ゆっくりできると思ってたけど、約束があるんだった。3時間くらい出ないといけないから、一旦家に送る」

「そっか。約束があるなら仕方ないね。……もうちょっと一緒にいたかったけど」


寂しい気持ちが溢れるけれど、先約があるならワガママは言えない。

その気持ちを隠すように航くんの胸にすり寄ると、彼の手が私の頭を撫でてくれる。


「文句言うなら、翼に……いや、何でもない」

「えっ、もしかして翼くんに会うの?」


航くんの口から不意に出てきた名前に、私は大袈裟なくらい反応して顔を上げた。

それに対して、航くんはそっぽを向いて口を閉ざした。

これは自分から踏み込まないと、教えてもらえないという合図だ。


「何の約束? 仕事じゃないよね? 私がついていったら邪魔になる? ねぇ、航くんってば」


私は航くんの腕を掴み、答えを急かす。

翼くんと航くんと3人で会いたいと考えていたから、これとないチャンスだ。

航くんは嫌がるかもしれないけれど、もし迷惑にならないなら翼くんに会いたい。

私の懇願に航くんが諦めたように息をつく。


「……そんなに翼に会いたいか?」

「うんっ、会いたい! いいの?」

「……やっぱりダメ」

「えっ、今の感じはいいってことだよね? いいなら連れていってよ!」

「うるさい」


航くんは拗ねたような顔をして、彼の手で私の頬を両側から挟む。


「ひょっ、航くん、何するのっ」

「ほんと、翼のことになると嬉しそうに笑うよな。むかつく」


頬から航くんの手が離れたかと思えば、その手はそのまま私の身体を回転させ、ベッドに押さえつける。

そして航くんは私の上に乗り、わざと体重をかけて私の動きを封じた。

私は彼の腕を掴むけれど、びくともしない。


「重いよ~。航く、んぅ」


翼くんにヤキモチを焼いた様子の航くんは、その熱で簡単に私を溶かしていく。

あっという間に翼くんのことは私の頭から消え、航くんでいっぱいになった。
 
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