再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
散々溶かされるようなキスを落とされた後、彼は言う。
「紗菜は俺のことだけ見とけばいい」
「……うん。航くんのことしか見てないから安心して。だから、ねっ」
航くんを安心させるように笑顔を向けると、仕方ないと言うように彼は息をついた。
「わかった。連れていってやるけど、後悔するなよ」
「えっ? 後悔?」
「先にシャワー浴びてくるから、適当に紗菜も来いよ」
「あ、うん……」
航くんはベッドから抜け出し、リビングの方へ去っていった。
よくわからないけれど、翼くんのところには一緒に連れていってくれるらしい。
10年ぶりに幼なじみに会える嬉しさがわき上がってくるのを感じながら、数分後、私はベッドから起き上がった。
バスルームの脱衣場で一悶着ありながらも、私がシャワーを浴びている間に航くんはスクランブルエッグを作ってくれた。
スクランブルエッグはどれも同じだと思っていたけれど、今まで食べてきた中で一番おいしくて感動してしまった。
隠し味の予想をあれこれ挙げてみたけれど、航くんは「内緒」と言うだけで教えてくれなかった。
今度、こっそり覗いてレシピを盗もうと心に決めた。
昨日は仕事が終わったその足で航くんの部屋に行ったこともあり、翼くんとの待ち合わせ場所に行く前に、航くんは私の住むマンションに寄ってくれた。
車とはいえ外で待たせるのも悪いからと「部屋に来る?」と言ったけれど、航くんは「今度ゆっくり行くからいい。早く着替えてこい」と言い、車で待ってもらうことにした。
部屋に戻った私は身支度をし、メイクをする。
かわいさに一目惚れしてデートのときに着ていこうと買ったワンピースを身につけていることもあり、気持ちが高揚しているのがわかる。
そんなときはメイクのノリもよく、いつもよりも短い時間で準備を終えた。
航くんの車に戻ると、彼は「そのくらいの化粧なら許してやる」と謎の誉め方をした後、車を走らせ始めた。