再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
翼くんは意外と近くに住んでいるそうで、1時間足らずで待ち合わせ場所のカフェに到着した。
翼くんに会えるときがそこまで迫っていると思うと、緊張感が増していく。
カフェの入り口に差し掛かり、緊張をほぐすために辺りを見渡すと、あたたかさを感じる空間が広がっていた。
その空間に包み込まれるのと同時に自然と身体の力が抜け、気持ちも高まった。
「このカフェ、すごくオシャレだね。照明もすごく綺麗だし……。翼くんのチョイス?」
「そう」
「そっかぁ。さすがセンスいいな~」
感心する言葉を口にしたとき、航くんの手が私の手を包み込んだ。
またヤキモチかなと思いながら店内を歩いていくと、外の景色がよく見えるテーブルの横で、航くんの足が止まった。
「待たせたな」
「コウ! ……と、紗菜ちゃん、だよね?」
「……う、うん……」
航くんの斜め後ろにいた私を覗くように彼……翼くんが身体を傾けて問いかけてきて、私は小さく頷く。
10年前のやわらかい雰囲気は何も変わらないのに、カッコよさは何倍にも増した翼くんに、心臓が音をたてた。
本当に翼くんが目の前にいる……。また会えたんだ……。
初恋の人に再会できたことに感動していると、航くんが私の頭に軽く手を乗せた。
「紗菜。ぼんやりしてないで、座れよ」
「あっ、うん!」
航くんに促されるまま座ると、真正面に座る翼くんが優しい笑みを向けてくれる。
「久しぶりだね。紗菜ちゃん。元気してた?」
「うん、この通り元気だよ。翼くんも元気してた?」
「相変わらずだよ」
私の想像よりもずっと航くんと翼くんの雰囲気は違っていて、それぞれで積み重ねてきたものの違いや人生をはっきりと感じる。
翼くんの笑顔を見つめながら何から話そうか考えていると、航くんがメニューを差し出してきた。
「紗菜、何頼む?」
「あっ、えっと……」
「翼は?」
「俺はもう頼んだから大丈夫」
11時を過ぎたところで、ランチにはまだ少し早い時間だ。
でも、航くんと翼くんがどのくらいここにいるのかわからなくて、私は航くんの服を軽く引っ張った。
「ね、航くん、お昼ここで済ませる?」
「いや。そんなに長居しない」
「そっかぁ。じゃあ、これにしよっかな」
りんごとはちみつのスムージーを指差すと航くんは店員を呼び、自分のアイスコーヒーと一緒に頼んでくれた。