再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
翼くんはテーブルの隅に置いていたスマホを手に取り、問いかけてくる。
「写真見る?」
「うん、見たい!」
すぐに、スマホの画面に表示された写真が目の前に現れる。
そこには翼くんと奥さん、女の子ふたりの楽しそうな笑顔が写っている。
「かわいい~! 奥さんも素敵な人だね!」
「でしょ。自慢の家族なんだ」
翼くんは写真を指差しながら名前も教えてくれて、写真からも伝わってくるあたたかい雰囲気に、自然と笑顔になった。
単純だけど、将来、こんなふうに笑顔で溢れるあたたかい家庭を作りたいという憧れが増した。
そんな想像をしながら写真を見ていると、翼くんが「あ、そうだ」と何かを思い出したように航くんの方を向いた。
「コウ、悪いんだけどさ、俺の車にこの前借りた本置いてきちゃったから取ってきてもらえない?」
「は? そんなの後でいいだろ」
「もうちょっとで出ないといけないし、今がいいんだって。頼むよ」
「まったく。キー貸せ」
「ありがと」
めんどくさそうにしながらも、航くんが翼くんのお願いを聞くところも昔と変わっていない。
私がつらいことがあって泣いていたとき、どうしてもはずせない用事があるという翼くんはちょうどその場に現れた航くんにお願いし、翼くんの代わりに航くんが一緒に過ごしてくれたこともあった。
航くんは優しい言葉はかけてくれなかったけれど、意地悪なことを言いながらもそばにいてくれたのを覚えている。
今思えば、あれは航くんなりの優しさの表現だったのだろう。