鉄仮面女史の微笑みと涙
「引き継ぎ、大丈夫そうか?」
「はい。何とかします」
当たり障りのない話をしながら椅子に座る
が、その後が続かない
重たい空気が流れる中、部長がため息をついた
「社長にやられたよ。まさか君をイギリス行かせる為に海外事業部全員巻き込むとは思わなかった」
「え?」
「最初は高橋だけの人事異動だったんだ。だから僕も社長の言い分を突っぱねてた。痺れを切らした社長が、海外事業部全員を昇進、又は栄転という形で切り返して来た。僕が文句を言えないように」
そんな事があったなんて知らなかった
「でも、何で部長は私の転勤に反対したんですか?」
「社長からその話が出たのが約1ヶ月前だった」
「それって……」
私と透吾が付き合い出した頃だ……
部長は苦笑しながら言った
「僕の友人と妻の親友が幸せ掴もうとしてるのに、水を差すようなことしたくなかった」
「私のプライベートと会社の事情は関係ありませんから。あの、社長にはこの事は?」
「いや、流石に言ってない」
「賢明な判断だと思います。でも、ありがとうございます。私達の事を気にかけてくれて」
「……力になれなくてすまない」
終始申し訳なさそうにしている部長に頭を下げて、自分の席に戻った
そして透吾にメッセージを送った
『来月からイギリス支社勤務になりました。詳しい事は帰って話します』
しばらくしてから返事が届いた
『今、皆川から電話があった。帰ったらゆっくり話そう』
驚いていると、部長が打ち合わせ室から出てきた
部長と目が合うと、部長はフッと笑って席に着いた
私も小さく頭を下げて、仕事に戻る
でも、全く仕事が手につかなかった
「はい。何とかします」
当たり障りのない話をしながら椅子に座る
が、その後が続かない
重たい空気が流れる中、部長がため息をついた
「社長にやられたよ。まさか君をイギリス行かせる為に海外事業部全員巻き込むとは思わなかった」
「え?」
「最初は高橋だけの人事異動だったんだ。だから僕も社長の言い分を突っぱねてた。痺れを切らした社長が、海外事業部全員を昇進、又は栄転という形で切り返して来た。僕が文句を言えないように」
そんな事があったなんて知らなかった
「でも、何で部長は私の転勤に反対したんですか?」
「社長からその話が出たのが約1ヶ月前だった」
「それって……」
私と透吾が付き合い出した頃だ……
部長は苦笑しながら言った
「僕の友人と妻の親友が幸せ掴もうとしてるのに、水を差すようなことしたくなかった」
「私のプライベートと会社の事情は関係ありませんから。あの、社長にはこの事は?」
「いや、流石に言ってない」
「賢明な判断だと思います。でも、ありがとうございます。私達の事を気にかけてくれて」
「……力になれなくてすまない」
終始申し訳なさそうにしている部長に頭を下げて、自分の席に戻った
そして透吾にメッセージを送った
『来月からイギリス支社勤務になりました。詳しい事は帰って話します』
しばらくしてから返事が届いた
『今、皆川から電話があった。帰ったらゆっくり話そう』
驚いていると、部長が打ち合わせ室から出てきた
部長と目が合うと、部長はフッと笑って席に着いた
私も小さく頭を下げて、仕事に戻る
でも、全く仕事が手につかなかった