鉄仮面女史の微笑みと涙
たった一泊二日の帰省だったけど、有意義な時間が過ごせた二日間だった
レンタカーに荷物を積んで、あとは帰るだけ
母は寂しそうな顔をしているし、父は目を合わせようとはしない


「じゃ、帰るけん。ゆっくりできんでごめん」
「気をつけて帰るんよ。体に気をつけてね」
「うん。お父さん、また帰ってくるけんね」
「……ああ」


まだ目を合わせようとしない父にため息をつく
母も呆れた顔をしていた
荷物を積んでいた透吾が私の隣にきて、両親に頭を下げた


「二日間お世話になりました。ありがとうございました」


すると今まで目を合わせなかった父が、透吾の前にスッと立って、透吾を見据えた


「……あとは任せたけんな」
「はい」
「……よろしゅう、頼んます」


そう言って父が頭を下げた
突然の事にびっくりしたが、母も同じように頭を下げた


「え?2人とも、どしたん?何?」


すると今度は透吾も頭を下げた


「ちょっ、透吾まで、何なの?」


訳の分からないままあたふたしていると、母が私の手を握ってきた


「お母さん、何?どしたん?」
「海青。今度こそ幸せになるんよ」
「え?」
「お母さんさんからは、それだけやけん」


母の真剣な顔にただ頷くだけだった
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