鉄仮面女史の微笑みと涙

「え……？」


今、何て言った？
結婚って言った？


「透吾、何言って……」
「ダメ？」
「いや、だって、まだ私結婚なんて」
「考えてないよな」
「うん。ああ、ごめんなさい」
「それが分かってたから、周りから固めた」
「え？」


首をかしげる私に、透吾は笑った


「海青の事だから、今結婚とか言っても『まだ離婚してそんなに経ってない』とか、『透吾と付き合ってまだ１ヶ月ぐらいだから』とか言って、絶対断られると思ったから。うちの両親と、海青の両親に先に許しをもらった」
「両親って……」
「うちの両親は手放しで大喜び。あ、次の週末海青に会いに帰国するから」
「は？」
「それで、妹に保証人欄書いてもらった。海青の両親には、この１週間電話かけまくって許してもらった。このお父さんの署名は海青が風呂に入ってる間に書いてもらった」


１週間電話かけまくった？
私がお風呂に入ってる間って？


「だからゆっくり入って来いって言ったの？」
「そう」
「でも、うちの両親そんなこと一言も言ってなかったじゃない」
「それは、内緒にしてもらってた」
「何で？」