鉄仮面女史の微笑みと涙
婚姻届に記入して、2人だけで乾杯して、明日の朝、出勤前に役所に提出することにした


「うちの両親、海青に会うの楽しみにしてる」
「あ、今度の週末会うんだよね」
「ああ。海青に会って、その後、海青の両親に挨拶に行くって言ってた。あ、これはちゃんとお父さん達には言ってるから心配するな」
「わざわざ大分まで行くの?透吾のご両親。私の親に会うために?」
「大事な娘さんをお嫁にもらうんだから当然だって言ってたよ」
「そう。今度お礼言わなきゃ」


そう言えば、これを聞くのを忘れてた


「ねえねえ。透吾のお父さんて何してたの?」
「え?」
「だって、このマンションも隣のアパートも相続したって言ってたから。気にはなってたけど、何となく聞けなくて……」


透吾は何となく答えにくそうに言った


「柳沢建設の元社長」
「え?」
「今は親族以外の人が社長になってるから、親父はもう関係ないけどな。まあ、俺は柳沢建設と関連会社の顧問弁護士させてもらってるから、あながち関係ないとは言えないけど」
「柳沢建設って、全国大手ゼネコンの?」
「そう」
「不動産業とホテルチェーンも手掛けてる?」
「そう」
「あの柳沢建設?」
「そう。その柳沢建設」


柳沢建設は大手ゼネコンの中でも、三本指に入るゼネコン
その関連会社の不動産会社とホテルは全国に散らばっている

< 74 / 92 >

この作品をシェア

pagetop