鉄仮面女史の微笑みと涙
行ってきます
イギリスに発つ日まであと2週間
私はリビングでワインを飲みながらため息をついた


「どうした?ため息なんかついて。あ、親父から連絡あったよ。明日ハワイに帰るって。海青によろしくって言ってた」
「そう。お義父さん達と会って1週間たつんだ」
「大分のお義父さん達とも意気投合したみたいだしな」
「まさか一緒に温泉旅行に行くとは思わなかったね」


2人で思い出したように吹き出す
透吾のご両親とは帰国した次の日に一緒に昼食を食べた
とても気さくなご両親で私達の結婚を心から喜んでくれていた


「大分と言えば温泉に入らないと帰れないわ」


とお義母さんは張り切っていて、昼食を食べるとその足で大分に行ってしまった
そして、うちの両親とも気が合ったのか、一緒に温泉旅行を2泊も楽しんだらしい


「うちの両親も楽しかったって言ってた」
「そりゃよかった」


透吾が隣に座ると、その肩に頭を預ける


「今日ね、部長に言われたの」
「皆川に?何て?」
「……イギリス支社を立て直し次第日本に呼び戻すから、頑張ってみないか?って」


そしてまたため息をついた
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