鉄仮面女史の微笑みと涙
そして私が日本を発つ日がやってきた
先日社長からも


「期待してるから頑張ってみてくれ」


と言われたのを思い出しため息をつく
そんな私に気付いたのか、透吾が私の頭を撫でた


「そろそろ行こうか」
「本当に見送りなんかいいのに。透吾も仕事あるんでしょ?」
「まだ言ってる。俺が見送りたいんだよ。ほら行くぞ」
「……うん」


透吾が私のスーツケースを持ちリビングを出る
私は一回リビングを見渡して部屋を出た
車の中ではお互い無言で何も話さなかった
私は何か話すと、ここ最近我慢していた気持ちが溢れそうでずっと窓の外を見て下唇を噛んでいた
空港に着き、搭乗手続きも済ませ、ベンチに透吾と座り時間が過ぎるのをただただ待っていると、透吾が私の左手をとった


「間に合ってよかった」


そう言って微笑む透吾の視線の先にあるのは私の左手の薬指
そこには以前貰ったハーフエタニティの指輪と昨日渡された結婚指輪がはまっている
そして透吾の左手薬指にも指輪がはめられている


「外すなよ」
「透吾もね」
「それと、人前で酒は飲むな」
「何回も聞いたってば」
「海青」
「なあに?」
「何か言いたい事あるんじゃないのか?」
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