溺甘副社長にひとり占めされてます。
「俺のこと、もっと知りたくなってくれた?」
自分の気持ちを本人に言い当てられ、ドキリとしてしまう。
伝わってしまっても良いと思っていたはずなのに、見透かされていることに、顔が熱くなっていく。
どう否定しようか。どう誤魔化そうか。
そんなことを懸命に考えたのち……私は小さくため息を吐いた。
「……少しだけ」
どんな言葉でも、誤魔化しきれない。
そう思い、私は素直に自分の気持ちを認めることにした。
「嬉しいな。俺は美麗ちゃんのことけっこう知ってるからさ、美麗ちゃんにも俺のこと知ってもらいたかったんだ」
「私のことを、ですか?」
「うん。知ってるよ。美麗ちゃんはいつも一生懸命。よく残業してるけど、そんなときでも楽しそうに仕事してる」
知らないところで、彼が私のことを見ていてくれてたことに、嬉しくなってしまう。
同時に、認めてもらえた様にも思え、気持ちが舞い上がっていく。
「ね? 当たってるでしょ?」
「わっ。私だって、白濱副社長のこと、それなりに知ってます!」
照れくさくて、少しだけ声を大きくすると、彼が楽しそうに笑った。
「へぇ、そうなんだ。じゃあさ、美麗ちゃんには俺ってどう見えてるの?」